速さってなんだ。つい最近までリッターSSはうちに必ずあった。最後の車種はGSX-R1000で、乾燥重量150kg代に178psというとんでもないバイクだった。一瞬でとんでもない速度が出る。でも、なんていうか、リッターSSを何台か乗り継いだ感想としては「人が制御できる領域を越えている」だった。パワーウェイトレシオ1未満になるSSも出る時代である。それがはたして一般人に扱えるか、いや扱えなくてもいいのだが、「楽しい」と思える領域でライディングできるのか。それはハタハタ疑問だった。
正直僕は怖かった、んだと思う。リッターSSは路上の弾丸なんだ。ちょっとアクセルをひねれば、すべての風景は線になる。視線の先は点になる。道路の王様じゃん、とすら思った。でも人が制御できるには、その力は強大だった。よく創作の表現で、「人には過ぎたるもの」という言葉が出てくるけど、まんまそれ。よくみんな買うなぁ、乗っているなぁと思ったもんだ。
2023年にセロー225をレストアした。人生で4代目のセローである。なぜか置き場所や金欠の問題で手放して、また欲しくなる。今回はヤフオクで5万円のボロで、ちまちま直して実働にした。タンクの錆取り、純正風塗装、CDIの交換やプラグコードを刷新してETCも取り付けて……という具合。
わずか18psはとことこ走るには心地よく、これは楽しいなと思えた。途中までは。「ロードタイヤ履かせてコース行くのも面白いかもね」。行った。遅かった。コース状のパイロンだった。あんまり楽しくなかった。
移動の都合で高速を乗ることもある。遅い。なんかめっちゃ煽られる。横浜横須賀道路最遅の乗り物だった。
もっとパワーを。パワーが欲しい。そこでやってきたのがRC390である。44ps。セローでは不可能だった高速100キロ巡航もらくらくだ。追い越し車線でも余裕をもって追い抜きできる。車でごちゃついているところもスイスイ抜けられる……と、ちょっと満足していたのだが、最近はいわゆるならずもの車が多い。
意味もなく煽ってくるし、ウインドウォッシャー攻撃をしかけくる。
44psは自己満足で十分なレベルだが、路上のならずものとかかわらないためには、モアパワー。もっとパワーを。パワーが欲しい。一瞬でミラーの点にするようなパワー。何者にも自己の領域を侵害されないだけのパワーが。道路の王様にならなければ、路上のすべてを制御することはできないのだ。
あっ……。

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